中国では昔から祭事や厄払い、神事の時に影絵劇を行う文化がある。
しかも朝方まで何時間も演じられるのだから驚く。
劇団への依頼は大体が村単位で行い、村人が金を出し合い支払いをする。
しかし最近ではそれも廃れ、中国の都市部では影絵劇自体を見た事が無い世代がふえているらしい。だがそこは領土の広い中国で、都心部と田舎では別の国のようであり、田舎では今だに200を越える影絵劇団があり、1年を通して影絵だけを演じ、それで得た金銭で生活を送っている大道芸人のような人たちが今だに存在するのだ。
私もこの事実を知った時はとても驚いた。
しかし時代の波に押され、影絵劇団も生計を立てるのが大変なようだ。需要はまだ沢山あるようなのだが、村人が都会に子供を送り出すのに大金を使うようになった為、影絵に支払う金銭まで追い付いていかないのが現状らしい。
昔の日本を思い返すと大正末期から昭和の頃ととても似ている。
中国影絵はいずれ日本の移し絵のように忘れられ、消えてしまうのかもしれない。そう考えると、とても寂しい気持ちになる。
娯楽の少ない中国の田舎ならではの芸能だと思うが、これから発展し、街に光りが満ちあふれると、やがて人工光により夜は消え去るのだろう。
中国の消えそうな影絵。
いつまでも伝承され伝えられる事を切に願う。