「お城」と聞くと、多くの人は青空にそびえ立つ真っ白な天守閣や、力強い石垣を想像しますよね。でも、最近の私はちょっと違う視点でお城を楽しんでいます。
実は私、最近は実際にお城に足を運べていないんです。でも、そんな時はウェブサイトで最新のニュースや歴史の裏話を眺めて「バーチャル城巡り」をするのが密かな楽しみ。特に攻城団(こうじょうだん)さんのニュースをチェックしていると、まるで自分がお城の回廊を歩いているような、不思議なワクワク感に包まれます。
今回は、そんな「画面越しの旅」で見つけた、お城の『裏側』に隠された職人たちの遊び心と、光が生み出す魔法についてお話ししますね。
夜の姫路城で見つける「誰も知らない影」
最近のニュースで特に心惹かれたのが、兵庫県の姫路城で開催される「プレミアム・ナイトツアー」の話題です。夜の静まり返ったお城、しかも普段は非公開の「台所櫓(だいどころやぐら)」などに入ることができるなんて、想像しただけでドキドキしませんか?
夜のお城の主役は、昼間のような真っ白な壁ではありません。本当の主役は、揺れる灯りに照らされて壁や床に映し出される「影」だと思うんです。
昔の職人たちは、現代のような明るいLEDライトなんて想像もしていませんでした。彼らが頼りにしていたのは、太陽の光と、夜のロウソクや松明の火だけ。だからこそ、光が当たった時に「どう見えるか」だけでなく、その裏側に「どんな影が落ちるか」までを計算して、お城の細部を作っていた形跡があるんです。
職人の「いたずら書き」ならぬ「いたずら彫り」
お城の御殿(例えば二条城や名古屋城など)を想像してみてください。部屋と部屋の仕切りにある「欄間(らんま)」、あれをじっくり見たことはありますか?
実は欄間には、表から見た時の美しさだけでなく、反対側から光が差した時に「影の絵」が完成するように彫られたものがあるんです。これを「透かし彫り」と言いますが、職人たちはあえて複雑な凹凸を作ることで、畳の上に落ちる影に物語を持たせようとしました。
これって、ものすごく贅沢な遊び心だと思いませんか? 「誰かが気づいてくれたら嬉しいな」くらいの、控えめで、でも確かな技術に裏打ちされた自己主張。お城という巨大な建造物の中に、そんな小さな「影の芸術」を忍ばせる職人たちの感性に、私はたまらなく惹かれるんです。
「石の声を聴く」職人が作る、無骨な影
お城の代名詞といえば、あの巨大な「石垣」ですよね。 攻城団さんの記事でもよく特集されていますが、石垣を積む職人集団「穴太衆(あのうしゅう)」には、「石の声を聴け」という言葉があるそうです。
一つひとつ形の違う自然の石を、パズルのように組み合わせていく。昼間の強い日差しが当たると、石の表面の凸凹が深い影を作ります。この影の重なりが、石垣に圧倒的な存在感と「強さ」という表情を与えているんです。
もし石垣がツルツルのコンクリートだったら、あんなにカッコよくは見えないはず。不ぞろいな石が生み出す「不完全な影」こそが、見る人の心を揺さぶる。これも、職人が意図した(あるいは石そのものが持っていた)影の力なのかもしれません。
私たちが忘れかけている「暗闇」の豊かさ
今の私たちの生活は、夜でも太陽のように明るい光に囲まれています。でも、お城のニュースを眺めながら当時の暮らしに思いを馳せると、本当の贅沢は「暗闇の中に浮かび上がる一筋の光」や「壁に映る大きな影」を楽しめる心の余裕だったんじゃないかな、と感じます。
「見えない部分」にこそ、作り手の本当の想いが宿る。 完璧に整えられたものより、少しの「揺らぎ」や「隙間」がある方が、私たちの想像力は自由に羽ばたくことができる。そんな気がしませんか?
お城の『裏側』を旅してみると、歴史上の英雄たちの物語だけでなく、それを作り上げた名もなき職人たちの息遣いが聞こえてくるようです。彼らが仕掛けた「光と影の隠れんぼ」は、何百年経った今でも、私たちに創作の楽しさを教えてくれています。
このブログを読んで、少しでも写し絵と、創作の奥深さに興味を持っていただけたら嬉しいです。ぜひ、私たちの活動や公演(現在お休み中)にも注目してください。 現代影絵プロジェクトのウェブサイトはこちら: https://utsushie.org/ また次回の「写し絵の話しあれこれ」でお会いしましょう!