ついに江戸写し絵を公演しようと決めていた2007年になった。
今現在の成果としては、幻燈機(風呂)はほぼ完成と言って良いと思う。完成の見本がないので本当に完成なのか確証はないが公演には困らないぐらいの光量と再現性を確保する事に成功した。色々と難関はあったが何とか満足行く結果となった。
風呂の復元が終わったので種板の調査と研究に移行した。しかし種板と言う物は情報が残っていない。一つでも現物があれば格段に復元も進むのだが、色々探しまわったり、人に頼んだりもしたが私が探しているような種板は手に入らなかった。
今現在手にはいる種板は戦争画のような物ばかりで、江戸写し絵とはかけ離れているし、ガラス絵のみになってしまっている。
しかし最近仕掛け付きの程度のよい種板を入手した。絵は戦争画だが、仕掛けは実に良く出来ていた。面と裏に仕掛けがあり、中側には固定された絵がある。要するに硝子絵は仕掛けにより三枚重なりあう仕掛けだ。
全面で人が動き後ろで血しぶきが舞い散る仕組みになっている。これはこれで入手できてとても参考になったのだが、私が以前見た江戸写し絵の物と比べると良く出来すぎている。
一応手作りで作ってはあるが、何か精巧すぎて良くない。これは私の見解でしかないが、何か機械的なのである。完全に手作りという感じがしない。
しかしせっかく種板を手に入れたのだから復元する事にした。見よう見まねで作ってみたが、まー一応は使えそうである。
この時初めて思ったのだが、最初種板は仕掛けが命だとおもっていた。しかし良く考えてみると一番重要なのはガラスに描かれている絵だと言う事に気がついた。
多分江戸写し絵で使われていた種板の絵は、上手い下手はあるにせよとても自分で描けるような物ではない。見れば一目瞭然だ。
やはり当初の計画通り写し絵の種板を入手するか絵を手に入れるしかなさそうだ。
今現在その筋の事に詳しい先生にお話しをお聞きしたり、ご協力者の方々から情報があつまり、復元にあたり光が見えてきた。
まだ未確認の種板があるのではないかと言う地域も幾つか候補を絞った。情報をご提供していただいた方には大変感謝しております。その種板を見つけ出すのには少々時間がかかりそうだ。
ただ1つ楽しみなのが、今でも写し絵を実演しておられた方がご存命している事がある筋からあきらかになった。もしかしたら種板をある程度保有しているのではないかという期待感はふくらむ一方だ。もし無いとしても当時の実演方法を教えていただけるだけでもすごい事だ。この話しはゆっくりと進めて行こうと思っている。
他にも種板の情報があるのでお話しをお聞きしてこようと思っている。
今回は漠然とした報告しか出来なかったが、今度はもっと前進したご報告が出来ればと思う。